2014.12.16

データセンターの消費電力のインパクトと効率性。KDDI TELEHOUSEを実測!

2回目の投稿になります。データセンター企画担当の柳澤です。今回はデータセンターの電力消費のインパクトと効率性について考えていこうと思います。
10月1日に名古屋に出張する機会がありましたが、名古屋駅に到着すると駅構内に大きな人だかりができていました。その日は東海道新幹線が開業してちょうど50周年で、記念乗車券を求める人たちの行列ができていたのです。そこで、前回はコタツでデータセンターの消費電力をたとえましたが、新幹線でいうと何編成分なのか、ちょっと比較してみることにしました。

データセンター vs 新幹線

図1

ところで、新幹線の消費電力ってどのくらいかわかりますか?あまり考えたことがないですよね。JR東海の最新型であるN700系新幹線で編成定格出力17MW(メガワット)だそうです。さて、データセンターに話を戻すと、10kVAが3,000ラックあれば、30MWなので、だいたいデータセンター1棟でN700系新幹線が約2編成分になります。ちなみに熱も同時に発生させているので、実際は空調用電力も必要になります。TELEHOUSE TOKYO Tamaの敷地にはデータセンターが3棟あり、受電能力は合計で約100MWなので、N700系×約6編成分になります。データセンターも新幹線も常時フル出力というわけではないので、おおよそ同じ程度(桁)の消費電力と見ていただければよいと思います。

データセンターの効率性とは

このように、データセンターは消費電力の大きな構造物なので、エネルギーの効率性が気になるところです。下の図はデータセンターの電力のフローについて簡単に表したものです。

図2

サーバーが消費する電力は①ですが、その他に変圧器やUPS (Uninterruptible Power Supply 無停電電源装置)等、電気がサーバーに辿り着くまでの電源変換によるロス②ー1や空調や照明等、サーバー以外に消費される電力②-2があります。②の電力(②ー1、②-2)は少なければ少ないほどムダが無く、効率的なデータセンターということになります。PUEという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか? Power Usage Effectivenessの略で、データセンターのエネルギー効率を表す一つの指標で次の式で表されます。

図3

②は先ほどの図に対応し、①はサーバー等IT機器による消費電力、②は電力変換ロスや、空調等IT機器以外で消費される電力の和になります。非常にシンプルな式ですが、電力をいかにサーバーに洩れなく届けるかという指標であり、数値が小さいほど、効率がよいデータセンターということになります。この数値は一般的なデータセンターでは PUE≒1.7~2.0 と言われており、サーバーで消費する電力とほぼ同じだけの電力が他のこと(主に空調)に使われていることになります。ちなみに、TELEHOUSE TOKYO Tama 3、TELEHOUSE OSAKA 2のPUE(設計値)はそれぞれ1.31、1.37になっています。

サーバーに使われない電力が〇億円!

消費電力②はできるだけ少ないほうが良いと説明しました。さてこの望まれない消費電力②を金額に換算するとどれ位の電力がサーバー等IT機器以外に消費されているのかイメージできると思いますので、やってみます。サーバー等IT機器で10MW消費するデータセンターにおいて、PUEが1.7だとすると、7MWもの電力がIT機器ではないところに消費されています。仮に電気料金を20円/kWhで計算すると、

20(円/kWh) x 24(h) x 365(d) x 7,000(kW) = 約12.3億円/年

がIT機器以外に消費されています。この例だと、PUEの0.1の差で1.75億円/年のコストインパクトになります。もちろん、無視できない金額です。しかも直接的な価値を生み出してはいません。ちなみにデータセンターだからこの程度のロスで済んでいますが、通常のオフィススペースではIT機器用に適した環境ではないため、さらに大きなロスが生じてしまいます。

KDDIデータセンターの効率性。実際のところどうなのか。

TELEHOUSE TOKYO Tama 二期棟(2014年12月時点での最新棟)にて、効率性を実測してみました。比較のためIT機器負荷の異なる2つのサーバ室1、2を測定しています。サーバ室2のIT機器の負荷はサーバ室1のIT機器負荷の1.89倍あるという環境です。例えば、同じ消費電力のサーバであれば、サーバ室1では1,000台、サーバ室2では1,890台稼働していると考えていただけるとわかりやすいと思います。

図4

この環境下で、電力変換効率を見てみました。商用交流がサーバに届くまでの構成は次の通りです。

図5

測定結果は次の通りです。
図6

一昔前はUPS一段の効率が80〜90%程度と言われていた時代もありましたが、最近導入しているUPSの電力変換効率が約97%と、かなり優秀になっていることがわかります。電力の変換ロスが少ないと発生熱が少なくなるので、空調負荷も低くできるメリットもあります。サーバ室1、2ともエンドーエンド(ここでは変圧器1の入力から変圧器2の出力まで)の変換効率でも93%~94%をたたき出しています。これがクラウド収容を意図したTELEHOUSE TOKYO Tamaの実力です。
次に空調の影響を見てみました。サーバ室1の空調負荷を100としたとき、サーバ室2の空調負荷は135でした。サーバ室1のIT機器負荷も100ですが、「サーバ室1のIT機器負荷 = サーバ室1の空調負荷」というわけではなく、単に指標化のためサーバ室1の空調負荷を100としているだけであることにご注意ください。

図7

ここでIT機器負荷と空調負荷の関係を眺めてみると、サーバ室2はサーバ室1と比較し、サーバ負荷が1.89倍にもかかわらず、空調負荷は1.35倍で済んでいます。つまり、IT機器負荷が高いサーバ室2のほうが空調に使用する電力は低い割合で済むことから効率的な運用ができているということになります。これが意味するところはサーバ室の能力一杯まで、しかも負荷を超えないよう(超えてしまうと事故になります)にすることがデータセンター設計の要諦ということです。

KDDIのデータセンターでは部屋単位のご要望については、お客様が利用される負荷にフィットさせた設備実装を行っています。こうすることでお客様のクラウド等の用途において最適(効率的)な環境を提供することが可能になっています。注意しておく必要があるのは、データセンターはPUEを小さくすることだけを追求すればよいわけではないということです。PUEはコストに影響してきますが、ランニングコストでみても電気代の他に、水道代(空調の方式によっては大量に消費)、設備維持費・保守費、運用員費用等があります。設備投資もどのような空調方式や電力設備にするかによって変わってきます。立地によってはネットワークへの設備投資も考えなければなりません。
このような事情からPUEを小さくすることが、単純に全体のコストを下げるというわけではありません。データセンターの設計ではPUEを小さくすることは目指すものの、様々な要素を考慮しながらベストな設備構成を追及します。もちろん信頼性もデータセンターのコアバリューであるためしっかりと確保していく必要があります。かくしてデータセンターの設計においては絶妙なバランス感覚と設計技術が要求されるのです。

データセンター構築状況

今回からTELEHOUSE OSAKA 2、TELEHOUSE TOKYO Tama 3の構築状況について写真で紹介していきます。

図8

大阪が2015年8月、多摩が2016年2月に開業予定です。大阪はかなり上に伸びてきました。約半年の違いですが進捗はかなり違いますね。竣工が楽しみです。

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KDDI株式会社 ソリューション事業企画本部
ネットワークサービス企画部

柳澤 健之

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