2017.02.22

Dr. Jeff Sutherlandが語るプロダクトオーナーに求められること

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アジャイル開発を推進している荒本です。
2月13日より一週間をかけて、アジャイル開発のフレームワークで最も普及している”Scrum”を考案したDr. Jeff Sutherlandと、Scrum inc.のトレーナーAvi Schneierを招聘してScrumセミナーを行いました。実務者向けに認定スクラムマスター(CSM)研修を二日間、認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)研修を二日間行いました。その間に経営者層向けに、デジタル革命が進む現代において日本がイノベーションを起こすための組織や仕事のやり方の変革についてのセミナーが行われました。CSM経営者向けセミナー(Digital Innovation Leadership)の様子は、今回のScrumセミナーを共同開催した永和システムマネジメントの平鍋さんがブログで紹介しています。CSPO研修も50名満席の参加者で行われました。プロダクトオーナーの役割とプロダクトオーナーが使う様々なフレームワークを、Scrum inc.で実践している実例を含めて、多くのワークショップを行いながら習得していきました。
 

プロダクトオーナーに求められる役割

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まず、プロダクトビジョンを持つこと。そしてビジョンに少しずつ到達できるロードマップを作り、ステークホルダーとのアライメントを整えること。その後、リリース計画を作ってその計画とROIに責任を持つこと。そのためには良いプロダクトバックログを作ること。そして半分の時間を顧客やステークホルダーと過ごし、半分の時間はチームと一緒に過ごすこと。それらがプロダクトオーナーに求められる主な役割です。良いプロダクトバックログとは準備完了の定義(Definition of Ready)を満たしているバックログのことであり、Scrum inc.で使うDefinition of Readyのリストは直ぐに取り入れることができ、学びとなりました。

また、プロダクトオーナーはWhat(何を作るのか)に責任を持ち、How(どう作るのか)はチームが受け持つ。プロダクトオーナーがHowを指示してしまうことでチームからの信頼を失うことになる事を常に留意すべきだと思いました。プロダクトオーナーの仕事は多く、チームのベロシティーが加速すればするほどボトルネックとなることがあります。プロダクトオーナーの仕事は企画部門の人がやる、チームの仕事は開発部門がやる、というようにスクラムチーム内でも役割がサイロになりがちですが、プロダクトオーナーの仕事もチームが助けなければならない、スクラムチームとして同じゴールに向かっているのだから、というメッセージも印象的でした。

組織のサイロ(縦割り組織による役割や役職の数が多ければ多いほど)が組織内の情報の浸透性を阻み、役割や役職数が少ない企業は、これらの数が平均的な企業よりも52倍生産性が高いことを調査データで説明した上で、食品にプリントするプロダクトの企業においてプロダクトリリースに失敗し、Dr.Sutherlandがコンサルティングした事例の話がありました。ソフト部門、ハード部門、セールス&マーケ部門、品質部門でスクラムの仕事の進め方へ変革しようとした際に、最初は各部門から、今の仕事のやり方を変えたくない、やり難い、またミーティングか?といった抵抗があったそうです。そこで「スクラム」という言葉は使わず、まずは「デイリースクラム」を「リリース・プランニング・ミーティング」と呼び、1日15分だけということで集まってもらうことからスタートし、徐々に各部門にスクラムでの仕事の進め方を広げて行き組織的にスクラムを広げていく、”スクラム・オブ・スクラム”を作っていったという話がありました。結果、次のプロダクトで過去最高のリリースをすることができたそうです。問題を一つずつ片付けることがポイントということです。
 

ワークショップでの日米の違い

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ワークショップでのエピソードです。顧客のニーズを知るためのワークショプにおいて日本とアメリカで行動の違いがあるということでした。簡単な工作を行い、作ったものの価値でどれだけ多くの収益を得ることができるか、のワークを行いました。今回見られた多くの日本人の行動は、作ったものを模擬顧客であるトレーナーに持って行き(売りに行き)、高く売れたか、安く買われたかで顧客が求めているニーズや価値観を引き出そうとしました。アメリカで同じワークを行うと、プロダクトオーナーがまず顧客(トレーナー)の所へ来て、どのようなものを作れば高く買ってもらえるのかを工作する前に聞きに来るそうです。この行動の違いも生産性やスピードの差となり得ると感じました。
 

Dr. SutherlandのScrumのゴール

セミナーの最後にScrumのゴールを話しました。Scrumはソフトウェア開発のみでなく、あらゆる分野に適用可能であり、家庭生活にさえも適用できる。実際にScrumはアフリカで多くの人が貧困層から脱出することに貢献している。Scrumにより一人一人が皆のために貢献し、世界の人々をモチベートすること。その結果、良いプロダクトを作り出す、家族と多くの時間を一緒に過ごすことが出来るようになるなど、地球のために、また人々がbetter lifeとなることがScrumのゴールである、という言葉が最も心に残るものでした。
 

Scrumセミナーを終えて

今回のセミナーを通して、Dr. Sutherlandの考えに直接触れ、Scrumが生まれた目的、理由を正しく理解し正しく実践することによって、これまで実践してきたプロダクト開発とは次元の違う高い生産性のプロダクト開発が実現できるのではないかという期待が高まりました。そのためにはScrumチームだけではなく、マネージャー、ステークホルダーの皆が理解を共にする必要があることの思いが強くなりました。今後も日本におけるScrum inc.との教育プログラムを進めて行きます。ご期待ください。

 

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KDDI株式会社 ソリューション事業企画本部
クラウドサービス企画部

荒本 実

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